たとえ自分の為でも
freeze
泣いていた。
br
SCP-018-DICの監視をしていたなまじゃけが、なぜか泣いていた。
理由はわからない。
なまじゃけは今日、早めに退社した。その間に私はなまじゃけの机の引き出しの中を覗いた。そこには、報告書が入っていた。SCP-018-DICの分と...もう一つ、SCP-017-DICの報告書があった。別次元の私は、救われない運命にあったらしい。
私は急に閃いた。そう、"過去を変える"事だ。財団内では、SCPを用いての勝手な過去改変については厳しく指導されていた。でも、自分のためにやるしかなかった。
br
設定時間は2021年9月18日、異常性によって人類が滅亡する3年前だ。
覚悟はできていた。たとえ世界が崩壊しても、仕方ない事だと思っていた。
でも私はこれ以外の方法が見つからなかった。
「どうかみんなが無事でいられますように!」
br
br
私は時空を超えた。
br
不思議だけど、綺麗だった。時空の狭間を彷徨い続けて、やっと着いた。
...ちょうど3年前。
私は事が悪化する前に私を探し始めた。だけど、めんどくさい事になっかたもしれない。
「あ、咲形博士〜!」
なまじゃけだ。どう考えてもなまじゃけだった。
私はなまじゃけを連れて個室に隠れた。
「ちょっ、え!?どしたの⁉︎」
「静かにして!今ちょっと色々やってんだから」
なまじゃけは困惑した様子だった。
「咲形博士...ちょっと老けた?」
「余計なこと言わないで!...まぁ老けてはいるんだけど。」
「どう言う事なんだよ⁉︎」
私はできるだけ早く、そして簡潔に話した。なぜか知らないけど、なまじゃけは全てを理解したような顔をしていた。ちょっとウザかった。
「って事だから、なまじゃけにも手伝ってもらうよ。」
「ぐっ。」
私は自分で探しに行くわけにも行けなかったので、なまじゃけに呼びに行かせた。
部屋には懐かしい写真が当時の面影を残しながら飾られていた。それでもって薄暗い。机が置いてあるから、誰かの部屋なんだろう。
「連れてきたよー」
帰ってきてすぐさま個室に入れて、周りに気づかれないようにした。
「「わぁ...自分だ。」」
謎に安心感があったけど、それどころじゃなかった。私はまたしても事の顛末を説明した。寿命の半分使い切ったような感覚だった。そうでもないかな。
相変わらずなまじゃけと同じくすぐに理解した。財団職員は何があっても当たり前だからなぁ...。
とにかく、私達3人は、'私'のいた次元に戻った。ポータル自体がなくてもSCP-018-DICは機能する事、後で報告書に書いておこうかな?いや、バレたら困るしやーめた。
そうこう言ってたらやっと戻れた。それでまためんどくさい事が起こった。
なまじゃけがいた。忘れ物を取りに戻っていたらしい。
なまじゃけは、私達を見るや否や
「...は?」
となった。
br
説明とかはもう全部省く。でも本人はなぜか「huh?」ってなってた。
まぁ目撃者として記憶処理でもしてやろうかと思ったけど、更にややこしくなるからやめた。
なまじゃけには黙るように言って、私達は無事にあの次元から脱出できた。
変な事にならなくてよかったと、今では思う。
br
今二人は偽名を使って財団職員として働いている。
私となまじゃけは、なんか...あんまり変わらなかった。
br
この日は私にとって、1番の冒険になった。
br
ありがとう、自分。
br
br
br
br
br
br
Tag: tale