たとえ自分の為でも

Last-modified: Mon, 23 Sep 2024 22:11:54 JST (252d)
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泣いていた。

 

SCP-018-DICの監視をしていたなまじゃけが、なぜか泣いていた。

理由はわからない。

なまじゃけは今日、早めに退社した。その間に私はなまじゃけの机の引き出しの中を覗いた。そこには、報告書が入っていた。SCP-018-DICの分と...もう一つ、SCP-017-DICの報告書があった。別次元の私は、救われない運命にあったらしい。

私は急に閃いた。そう、"過去を変える"事だ。財団内では、SCPを用いての勝手な過去改変については厳しく指導されていた。でも、自分のためにやるしかなかった。

 

設定時間は2021年9月18日、異常性によって人類が滅亡する3年前だ。

覚悟はできていた。たとえ世界が崩壊しても、仕方ない事だと思っていた。

でも私はこれ以外の方法が見つからなかった。

「どうかみんなが無事でいられますように!」

 
 

私は時空を超えた。

 

不思議だけど、綺麗だった。時空の狭間を彷徨い続けて、やっと着いた。

...ちょうど3年前。

私は事が悪化する前に私を探し始めた。だけど、めんどくさい事になっかたもしれない。

「あ、咲形博士〜!」

なまじゃけだ。どう考えてもなまじゃけだった。

私はなまじゃけを連れて個室に隠れた。

「ちょっ、え!?どしたの⁉︎」

「静かにして!今ちょっと色々やってんだから」

なまじゃけは困惑した様子だった。

「咲形博士...ちょっと老けた?」

「余計なこと言わないで!...まぁ老けてはいるんだけど。」

「どう言う事なんだよ⁉︎」

私はできるだけ早く、そして簡潔に話した。なぜか知らないけど、なまじゃけは全てを理解したような顔をしていた。ちょっとウザかった。

「って事だから、なまじゃけにも手伝ってもらうよ。」

「ぐっ。」

私は自分で探しに行くわけにも行けなかったので、なまじゃけに呼びに行かせた。

部屋には懐かしい写真が当時の面影を残しながら飾られていた。それでもって薄暗い。机が置いてあるから、誰かの部屋なんだろう。

「連れてきたよー」

帰ってきてすぐさま個室に入れて、周りに気づかれないようにした。

「「わぁ...自分だ。」」

謎に安心感があったけど、それどころじゃなかった。私はまたしても事の顛末を説明した。寿命の半分使い切ったような感覚だった。そうでもないかな。

相変わらずなまじゃけと同じくすぐに理解した。財団職員は何があっても当たり前だからなぁ...。

とにかく、私達3人は、'私'のいた次元に戻った。ポータル自体がなくてもSCP-018-DICは機能する事、後で報告書に書いておこうかな?いや、バレたら困るしやーめた。

そうこう言ってたらやっと戻れた。それでまためんどくさい事が起こった。

なまじゃけがいた。忘れ物を取りに戻っていたらしい。

なまじゃけは、私達を見るや否や

「...は?」

となった。

 

説明とかはもう全部省く。でも本人はなぜか「huh?」ってなってた。

まぁ目撃者として記憶処理でもしてやろうかと思ったけど、更にややこしくなるからやめた。

なまじゃけには黙るように言って、私達は無事にあの次元から脱出できた。

変な事にならなくてよかったと、今では思う。

 

今二人は偽名を使って財団職員として働いている。

私となまじゃけは、なんか...あんまり変わらなかった。

 

この日は私にとって、1番の冒険になった。

 

ありがとう、自分。

 
 
 
 
 
 

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